RCEP交渉会合: シンガポール政府は人々の権利よりも ビジネス・セクターを優先した

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2018年5月3日

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RCEP交渉会合:シンガポール政府は人々の権利よりも ビジネス・セクターを優先した

シンガポール:東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉を行なう16カ国の貿易担当者は、この野心的なメガ自由貿易協定を前進させるために、今週シンガポールで会合を開催している。しかしながら市民社会は排除された。

市民社会はこれまでの交渉会合において、十分ではないものの、会合への参加を獲得しその声を届けるための懸命な努力を行ってきた。フィリピン、インドネシア、日本、韓国、インドにおける交渉会合では、市民社会の主要な代表者は懸念事項を共有するために、少なくとも参加が認められてきた。

シンガポール政府はそこから後退した。本日、同政府は30の多国籍企業を「ビジネス対話」に招待し、それら企業の利益と関心について確認した。RCEPによって負の影響を受けるであろう労働組合、農業者、市民社会組織はそこから除外された。

農業や公共サービス、製造業、デジタル経済等の分野でさらなる開放と規制緩和をめざす交渉は完全に秘密で行われてきた。過去6年間にわたり交渉が進められてきたにもかかわらず、交渉テキストは一切公表されていない。

「ASEAN諸国の政府は、これらのRCEP交渉を通してASEANの中心性を主張してきた。人々の懸念を表明するためには、意味のある協議が必要である。シンガポール会合における協議は、人々の声を効果的に排除し、その代わりにビジネス・セクターに再び特権的なアクセスを提供した。このことは、RCEP交渉のプロセスにおけるさらなる”民主主義の赤字”を露呈するものである」。ジョセフ・プルグガナン(トレード・ジャスティス・フィリピン呼びかけ人)氏は語った。

「世界中で、HIVとともに生きる人たちは、入手可能な医薬品へのアクセスを劇的に増加させたインド製のジェネリック医薬品の恩恵を受けています。私たちは、RCEP交渉において、日本と韓国が有害な知財条項を主張し続けることによって、このライフラインが攻撃されることを非常に懸念しています。シンガポールでの交渉会合にて、多国籍企業はステークホルダー会合に出席することができ、意見を聞かれているという一方で、この貿易協定の知的財産の交渉によって生命を左右されるHIV感染者たちが暗闇の中に置かれたままであることに落胆しています」。インドの「デリー・ポジティブ・ピープルズ・ネットワーク」のポール・ラングディム氏はこう語った。

「シンガポールに集まった政府や多国籍企業は、未来のデジタル経済のルールを決めている。このことは、新しいルールによって基本的な権利が直接的に影響を受ける労働者が、この過程から完全に排除されてきたという事実を無視するものである。地域を越えた労働者および影響を受けるコミュニティとの意味ある会合は、労働者にとって民主的な権利を行使するために欠かせない。シンガポールで我々が目にしたことは、この権利を愚弄するものである」と、国際建設林業労働組合連盟(BWI)地域代表のアポリナー・トレンティノ氏は述べた。同連盟は、アジア太平洋地域の約400万人の労働者を代表し、RCEPに参加する16カ国のうち13カ国に加盟組合を有している。

独自の会合を開催するためにシンガポールに集まっている市民社会のメンバーたちは、自身の国の政府に対して、少なくとも包摂的かつ包括的なステークホルダー会合を、各交渉会合へ対する認められたインプットとして開催することを確保することは、各国政府の共同責任であることを喚起した。各国の代表者は、開催国の政治的な意思の欠如の背後に隠れることはできず、今後のRCEP交渉会合に向けて、意味のある包括的なステークホルダーからのインプットを可能にするための最低基準が設定されることを確保する必要がある。

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